ギフトエコノミーの海

ギフトエコノミーは「ポスト資本主義」とも言われています。金額を物差しとする現代の資本主義社会では「富」が一部に集中して、富裕層と貧困層を産み出し、競争や対立、格差を産む社会構造を形作ります。これに対しギフトエコノミーは「ペイフォワード」「ギブ&ギブ」「恩送り」の考え方です。この社会のため、人のために自分が何ができるかを考え、助けを必要としている人に役立つ行動をする。助けられた人は、その経験に心動かされ、直接恩を返さなくても、誰か他の人に恩返しをしようと思うようになります。

①奪い合う経済から、与え合う経済へ

私たちはいつの間にかお金で支配される社会に心底飼い慣らされてしまいました。衣食住のすべてをお金で買わないと生きて行けない毎日、しかも多くの庶民がそのことへの危機感を抱いていません。このお金で支配される社会から抜け出さないと私たちの未来はありません。

風の時代と言われて3年、明らかに時代は変わり古い価値観は葬り去られようとしているかに見える。それでも「稼がなければ食って行けない」というあまりにも強力な思い込みはそう簡単には崩れそうにありません。

ちょっと想像してみてください。百年前の日本、ほとんどの庶民は自給自足で暮らしていたはず。少なくとも「お金」を基準としない暮らしがあったはずです。村人が協力しあって田植えや稲刈りをし、農閑期には囲炉裏端で縄をない、糸を紡ぎ、機を織り、村人総出で茅葺き屋根を葺き替えた…つまり衣食住の殆どが「お金」を介さずに成立していたはずです

戦後、農業機械が導入され、農薬や化学肥料普及すると同時に労働力は急速に農村から都市に流出、昭和ヒトケタ世代の方々が文字通り寝る間も惜しんで働いて働き抜いたお陰でそれはもう画期的な高度経済成長を成し遂げたわけです。

しかしその極端な高度成長の陰で私たちは地球環境を悉く破壊し、今では毎年4万種もの生物が絶滅に追いやられているという。さらに食品添加物王国だといわれているこの国で医療費の支出はどんどん膨らみ国家予算の半分に迫ろうとしている。癌や生活習慣病が増え、更に若年層(39歳以下)の死因のトップが自殺だと聞かされるとやりきれなくなります。

ちょっと極端な言い方になりますが、戦争で人がたくさん亡くなろうが、経済活動の裏で地球環境が壊されようが、お金が儲かりさえすればいい。そんなお金中心の考え方がこの社会を崩壊に導いていると言っても過言ではありません。

②衣食住を取り戻す

私たちはいつの間にか衣食住をお金で買わないと生きて行けないという生き方にハマってしまいました。「一生懸命に働いてお金を稼がないと食って行けない」という洗脳はあまりにも強力でなかなかそこから逃れることが出来ません。

しかし、衣食住をお金で買わないと生きて行けないという生き方は何者かに簡単に支配され、コントロールされてしまう。今、私たちはその何者かに洗脳され、現実を直視する目を奪われています。世界の経済は紙幣発行権を握った一部の者たちによって支配されていると言われていますね。おそらくそれは間違いのない事実でしょう。しかし私たち一介の市民がこの止めようもない金融資本主義の闇に立ち向かっても勝ち目はありません。それよりも私たち一人ひとりがお金の支配から逃れて自立する道を目指すべきです。

かつてマハトマ・ガンディーは自分たちで衣食住を自給するという精神で非暴力闘争を勝ち抜きました。ガンディーに習って私たちの先輩がたがごく普通にやっていた衣食住を自給する暮らしを取り戻す道を選びたいと思います。